「生賴範義(おおらい・のりよし)展」のための図録制作
原画撮影・編集と装丁デザイン
Client:宮崎文化本舗 Audience:オーライタロー Design & Photo:三輪浩治

展覧会用図録は会場展示に合わせて掲載作品が変わります。今回は鹿児島薩摩川内より持ち込んで公開した横5メートル近い大作「破壊される人間」が初掲載、是非ご確認ください。
掲載作品249点、142頁。
©OHRAI
デザインを詳しく解説
・鑑賞の邪魔にならない本の開き
机に平置きで作品が見渡せる「糸かがり綴じ」製本方法で出来ています。両手で押さえたりせずに、見開きができます。
・年代に合わせたレイアウト
生賴氏が熱く活躍した頃の1980年代の図録レイアウト方法で組みました。印刷業界がデジタル化される前のクラシカルなデザイン技法です。文字は黒が中心。ボカシや発光などパソコン由来の技法を避けました。普段は左右にあるページ番号、ノンブルは中央に集めて紙面を広く見せます。これらは全て主役のイラストレーションに目を行かせるための工夫です。
・大きな作品は大きく
会場を圧倒した大きな『我々の所産』『サンサーラ』は折り込みページに大きく配し氏の筆使いが見えるようにしました。幅4.5メートルを越える巨大な『破壊される人間』は本文には収まらず本のどこかに隠しました、是非見つけてください。
・原画に忠実を目指した色彩
イラストレーションを再現するのは最新のデジタル技術、高解像の画像を高密度の印刷技術で生賴氏の繊細な線を再現しました。氏の使用した画材リキテックスに非常に詳しい、みやざきアートセンター長と印刷所が幾度も確認して色調を限りなく原画に近づけました。
決して奇をてらうデザインでは無く、氏に敬意を込めてイラストレーションを見せることを大切にしました。展覧会でご覧になった時の熱い感覚をどうぞこの図録で再び味わって頂けると幸いです。
また、生賴チームの皆さま大変お世話になりました